アニサキス

アニサキスとは

アニサキスは、長さ15ミリほどの白い糸のような寄生虫です。魚介類を食べることで人に感染します。

主な症状

感染すると、軽い腹痛から激しい痛み、腸閉塞のような症状まで、さまざまな体調不良を引き起こすことがあります。ただし、人の体の中では約1週間で死滅するため、症状が出ないこともあります。

治療方法

除去できれば、その場で痛みはおさまります。取りにくい場合でも、薬で症状を和らげることが可能です。

予防方法

アニサキスは次の方法で死滅します。

• 60度以上で1分以上の加熱
• －20度以下で24時間以上の冷凍

近年は流通技術の進歩により、新鮮な魚がそのまま届く分、アニサキスによる症例は増加傾向にあります。

胃アニサキス症

アニサキスが胃の壁に入り込むことで発症します。
感染から3〜4時間後に上腹部痛、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。実際には、虫体そのものの痛みではなく「胃壁に対するアレルギー反応」が原因と分かっています。

• 内視鏡で虫体を除去すれば、すぐに症状は改善します。
• 同じ食事をしても、全員が症状を発症するわけではありません。

腸アニサキス症

アニサキスが腸に食いつくことで発症します。
感染から十数時間〜数日後に、強い下腹部痛や吐き気、嘔吐、発熱が現れます。

• 稀に腸閉塞や腸穿孔を起こし、入院が必要になることもあります。

消化管外アニサキス症

まれにアニサキスが消化管を突き破って腹腔へ移動することがあります。
寄生した部位によって、さまざまな症状を引き起こします。

アニサキスアレルギー

アニサキスに対するアレルギー反応で、蕁麻疹、血圧低下、呼吸不全、意識消失などが起こることがあります。
最重症型は「アナフィラキシーショック」で、国内では食物・薬物に次いで3番目に多い原因です。

検査

検査はまず問診から始まり、症状の経過や直前の食事内容をくわしく確認します。胃にアニサキスがいると考えられる場合には胃カメラをおこない、その場で虫体を除去することが可能です。小腸以降にいると疑われる場合には、エコーやX線検査、血液検査などを組み合わせますが、胃より奥に存在することを確定するのは難しいのが現状です。

治療

治療については、胃カメラでアニサキスを発見できれば、その場で摘出することで症状は速やかに改善します。内視鏡での摘出が難しい場合には、薬を用いて症状を和らげながら自然に死滅するのを待ちます。現在のところ、アニサキスを直接駆除できる専用の薬は存在していません。

アジを食べた翌日に腹痛があり、検査では異常なし。でも5日経っても痛みが続いています

アニサキスは数日で死滅するため、5日経っても症状が続く場合は別の疾患の可能性があります。再受診をおすすめします。

サンマの刺身を食べて4時間後に吐き気と腹痛。市販薬で治まったけど、受診すべき？

症状が完全に治まっていれば受診の必要はありません。

ブリの切り身にアニサキスを発見。取り除いて十分に加熱したが、死骸は食べても大丈夫？

→ 加熱していれば問題ありません。

カツオのタタキを食べて数時間後に激しい腹痛が出たが、その後自然に治まった。アニサキスではない？

アニサキスの可能性もあります。ただし症状が治まっていれば心配はいりません。
よしはら内科・内視鏡クリニックでは、アニサキス症の迅速診断と治療に対応しています。
魚介類を食べた後に急な腹痛や吐き気がある場合は、できるだけお早めにご相談ください。