胃がん

胃がんの代表的な症状

• 胃の痛み
• 胃の不快感・違和感
• おなかの張り
• げっぷ・胸やけ
• 吐き気
• 食欲不振

など

がんから出血することで貧血や血便（便の色が黒くなる）が現れることもあります。

胃がんの初期症状

特有な症状はなく、かなり進行しても自覚症状がほとんど現れないこともあります。

自覚症状からだけでは、がんかどうか判別できないため、気になる症状がある場合は内科や消化器内科などの医療機関を受診することが大切です。

ピロリ菌感染

胃がんの最大の危険因子とされています。ピロリ菌（ヘリコバクター・ピロリ）に感染すると、長年にわたって慢性胃炎を引き起こします。この慢性的な炎症が続くことで、胃の粘膜が徐々に変化し、萎縮性胃炎となり、さらには腸上皮化生という胃の粘膜が腸の粘膜のような状態に変化します。こうした変化が積み重なることで、がんへと進展するリスクが高まります。日本人の胃がん発生の約60～70％はピロリ菌感染が関与していると考えられています。

食生活

高塩分食品の過剰摂取は胃粘膜を刺激し、炎症や粘膜の損傷を引き起こすことで、胃がんのリスクを高めます。特に塩蔵食品、塩辛い加工食品、高塩分の漬物などの習慣的な摂取は注意が必要です。また、燻製食品や保存食品に含まれる硝酸塩・亜硝酸塩も、胃がんの発生と関連があることが指摘されています。

生活習慣

喫煙は胃がんのリスクを約1.5～2倍に高めます。タバコに含まれる発がん物質が胃粘膜に直接ダメージを与えるためです。また、過度の飲酒も胃粘膜への刺激や胃炎を引き起こし、胃がんのリスクを高めることが知られています。

遺伝的要因と家族歴

胃がんの家族歴がある方は、そうでない方に比べて約2～3倍胃がんになるリスクが高いとされています。これは、ピロリ菌感染のリスクが家族内で共有されやすいことや、遺伝的要因が関与している可能性があります。特に、第一度近親者（親、兄弟姉妹、子）に胃がんの方がいる場合は、定期的な検査が推奨されます。

加齢

年齢が上がるにつれて胃がんのリスクは高まります。

これは長年の胃粘膜へのダメージの蓄積や、細胞の修復能力の低下が関係していると考えられています。

ピロリ菌検査と除菌治療

ピロリ菌感染が確認された場合、抗菌薬による除菌治療をおこなうことで、胃がんのリスクを約30～50％低減できることが研究で示されています。箕面市のよしはら内科・内視鏡クリニックでは、血液検査、尿素呼気試験、内視鏡検査時の組織検査などでピロリ菌感染の有無を調べることができます。除菌治療は保険適用となる場合が多く、1～2週間の抗菌薬服用で高い確率で除菌が可能です。

バランスの良い食生活

塩分の摂取を控え（1日の目標摂取量は男性8g未満、女性7g未満）、新鮮な野菜や果物を積極的に摂ることが推奨されます。特に緑黄色野菜に含まれるビタミンCやβカロテンには胃粘膜を保護する効果があります。また、発酵食品（ヨーグルトや納豆など）に含まれる乳酸菌が胃の健康維持に役立つという研究結果もあります。

禁煙と適度な飲酒

禁煙することで、胃がんを含む多くのがんリスクが低下します。また、アルコールの摂取は適量に留め、「節度ある飲酒」を心がけましょう。

• 純アルコールで1日約20g程度
• 日本酒なら1合
• ビールなら中瓶1本程度

定期的な検診・検査

特に、ピロリ菌感染の既往がある方や胃がんの家族歴がある方は、より頻繁な検査が望ましいでしょう。

ストレス管理と適度な運動

過度のストレスは胃酸の過剰分泌や胃粘膜の血流低下を招き、胃の健康に悪影響を与える可能性があります。適度な運動や十分な睡眠など、ストレス管理も胃がん予防の一環として重要です。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

小さな早期がんを内視鏡の先端から出る特殊なワイヤーで切除

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

より大きな病変や複雑な部位のがんも一括で切除できる高度な技術

胃の切除範囲

がんの位置により、胃全摘、上部切除（噴門側胃切除）、下部切除（幽門側胃切除）などを選択

手術方法

• 従来の開腹手術
• 傷が小さく回復が早い腹腔鏡手術やロボット支援手術

など

化学療法（抗がん剤治療）

進行がんや再発予防には、抗がん剤が使用されます。近年は効果的な薬剤が多数開発され、治療成績が向上しています。