- HOME>
- ドクターズインタビュー
ドクターズインタビュー
緑豊かな箕面市に開院した「よしはら内科・内視鏡クリニック」。救急医療、麻酔科、循環器、そして消化器内科と幅広いキャリアを歩んできた院長 吉原 友篤先生に、これまでの道のりや診療にかける想いを伺いました。
さまざまな経験から生まれる専門性

医師としてのキャリアは、かなり幅広いですよね。

初期研修は救急症例が多い病院で、3~4日に1回は当直があり、ほとんど寝られない日々でした。研修医が前面に立って診療する環境で、重症患者さまの初期対応や救命処置を数多く経験しました。その中で麻酔の重要性に気づき、麻酔科に進むことを決めました。
麻酔科時代はかなり大変だったのではないでしょうか。
本当に過酷でした。当時は麻酔科医が少なく、同期もいませんでしたから。朝から晩まで手術室にこもり、連日麻酔をかけ続ける生活で、日付が変わるような勤務が1週間以上続くこともありました。今は働き方も変わっていますが、当時はまさに体力勝負でしたね。
大阪に来られたのは循環器内科を目指されていたからですか?
そうです。初期研修が終わった後、内科をトレーニングしたくて探していたところ、研修医時代の病院の人事部から循環器の強い病院を紹介してもらいました。それで岸和田徳洲会病院に来ることになったのです。
その後、消化器内科に進まれたのはなぜですか?
勤務していた病院には循環器と消化器が一緒の総合内科という診療科で診察をおこなっていました。そのため総合内科外来では幅広い症例を診ていました。循環器の医師として着任しましたが、その中で内視鏡に興味を持つようになったのです。循環器は専門性が高い診療科ですが、私はもっと幅広く診たいと思っていましたし、内視鏡の症例も多かったので、自然と消化器に気持ちが傾いていきました。
医師としての進路を決める上で、大切にされていることは?
直感もありますが、必ずよく考えてから決めています。これまでのキャリアはどれも無駄ではなく、全てが今の診療につながっています。救急で培った初期対応力、麻酔科で学んだ安全管理の感覚、循環器で得た命に直結する知識。そのすべてが、今の診療の土台になっています。

箕面市を選ばれたのは、どのような理由からですか?

街並みの雰囲気が気に入ったのです。私は東京の杉並区で育ったのですが、落ち着いた環境が似ていて親しみを感じました。箕面は静かで落ち着いていて、地域の皆さまの雰囲気も温かく、とても良い街だと思います。
経験を活かした安全な内視鏡検査

麻酔科でのご経験は、今の診療にどのように役立っていますか?

クリニックは病院に比べて人手が少ないですが、検査の質や安全性は同じレベルで保たなければなりません。内視鏡検査には麻酔を使いますので、麻酔科医として学んできた経験が大きな強みになっています。心臓や呼吸器、肝臓や腎臓など、患者さまそれぞれの状態を踏まえて麻酔薬を調整し、安心して検査を受けていただけるようにしています。

胃カメラと大腸カメラを同じ日に受けられるのは珍しいですよね。

一度で済ませたいという患者さまのご要望が多いです。麻酔も一回で済むので効率的ですし、寝ている間に両方終えることもできます。ただし検査時間が長くなると負担になる方もいるので、状況に合わせて別の日に分けることもあります。

検査の安全面で特に工夫されていることはありますか?

まずは問診や診察、血液検査でリスクを評価します。必要に応じて検査前にCTをおこなうこともあります。大腸カメラの場合は事前の排便コントロールも大切で、内視鏡技師の資格を持った看護師が食事や下剤の飲み方を丁寧に説明してくれます。そのサポートのおかげで、下剤の量も比較的少なくて済むケースが多いです。
※内視鏡技師とは、胃カメラや大腸カメラの検査を医師とともにおこない、安全で円滑に進める専門スタッフです。日本消化器内視鏡学会が認定する資格で、内視鏡に特化した唯一の認定資格として注目されています。
聞き上手な診療スタイル

診療で大切にされていることは何でしょうか?

病院に来ること自体が一つのストレスだと思うのです。ですから、まずはリラックスしていただくこと。そして何より「しっかり聞くこと」を大切にしています。特に初診の方にはじっくりと時間をかけて問診します。患者さまのお言葉を丁寧に聞き取り、必要な検査を組み合わせていく。その上で納得いただけるまで説明をすることが重要だと考えています。
先生は「聞き手」なんですね。診察にはかなり時間をかけられるのでしょうか?
そうですね。基本的に聞き手というのでしょうか。考えを整理して端的に伝えるよう心がけていますが、やはり聞く時間はどうしても長くなります。けれども、患者さまが自由に話してくださるほど多くの情報が得られますし、その中に診断や治療に直結するヒントが隠れていると考えています。

お仕事がお忙しい世代では「ストレスで胃が悪いだけ」と自己判断してしまう方も多いのでは?

確かに若い方は「ストレスだから」と様子を見てしまう傾向があります。でも、ストレス性の症状かどうかは「除外診断」であって、まずは他の病気が隠れていないことを確認する必要があります。自己判断で放置するのは危険です。少しでも気になる症状があれば、一度は受診していただきたいです。
多様な患者層へのアプローチ

どのような年齢層の患者さまが多いのでしょうか?

小さなお子さんからご高齢の方まで、本当に幅広いです。箕面市は高齢者の割合が多い地域ですが、近年は若い世代の方も増えてきています。結果として、幅広い世代の患者さまが来院されている印象です。

若い方が胃カメラを受けに来られることもあるのですか?

はい、20代前後の若い方も検査を希望されます。例えば、ご家族にピロリ菌感染がある場合や、お腹の不快感が続く場合などです。ピロリ菌のタイプによっては若いうちから胃炎のリスクが高まることもありますから、早めに調べることはとても大切です。40代になると、仕事のストレスによる不調で来られる方も増えます。

土日の診療は、やはり働く世代への配慮ですか?

その通りです。平日は仕事で忙しく、なかなか時間が取れない方も多いですから。特に日曜は、外傷や急な体調不良で来られる方が多いです。当院では可能な限り初期対応をおこない、必要に応じて専門医へご紹介しています。地域の皆さまが安心して暮らせるよう、幅広い診療を心がけています。
内視鏡検査への想い

内視鏡検査で特に大切にしていることは何ですか?

患者さまにできるだけ負担を
かけず、
短時間で楽に
終わらせることを
意識しています。
ただし、観察そのものには十分な時間をかけます。検査を受けても見落としがあれば意味がありませんから、発見率を高めることを常に考えています。限られた時間の中で、挿入はできるだけ短く済ませ、観察にはしっかり時間を使うようにしています。
最後に、患者さまへメッセージをお願いします
内視鏡検査に抵抗を持たれている方も少なくありません。だからこそ、安全に、そしてできる限り苦痛を抑えて受けていただけるよう工夫しています。これまでの麻酔科での経験も活かし、痛みや不安を最小限にした検査をご提供するよう努めています。
特に大腸カメラは、医師の技術によって負担の差が大きく出る検査です。検査がつらいと「もう受けたくない」と感じてしまう方もいますが、その結果、10年近く検査を避けてしまい、再検査の際には病気が進行していたというケースもあります。そうならないために、少しでも快適に受けていただき、安心して次回も検査を受けようと思えるような体験をお届けしたいと思っています。
多様な医療経験を積み、患者さまの声に真摯に耳を傾ける吉原先生。丁寧な診療と安心の内視鏡検査で、箕面市の皆さんの健康を支え続けています。
