過敏性腸症候群

このような症状が数か月以上続く場合、過敏性腸症候群（IBS）を疑います

• 「ストレスを感じるとお腹が痛くなる」
• 「大事な場面で下痢になってしまう」

生活習慣の工夫や薬による治療で改善が期待できますので、気になる症状がある方はぜひ当院までご相談ください。

ストレスによる自律神経の乱れ

腸の動きや感覚は自律神経によって調整されています。強いストレスや不安が続くと自律神経のバランスが崩れ、腸が過敏に反応しやすくなります。その結果、腹痛や便通異常が起こりやすくなります。

感染性腸炎の後遺症

過去に細菌やウイルスによる腸炎にかかった方は、腸内細菌のバランスが変わり、過敏性腸症候群（IBS）を発症しやすくなることがわかっています。
また、心因的ストレス（進学や就職、試験など）、身体的ストレス（過労や睡眠不足、暴飲暴食）、さらには「会議や電車でトイレに行けないのでは」という予期不安も、症状を悪化させる要因になります。

便秘型（IBS-C）

便秘が続き、硬い便が出る。排便後もすっきりしない。お腹の張りや痛みを伴うことがあります。

下痢型（IBS-D）

突然の腹痛と下痢を繰り返し、外出や仕事に支障が出やすい。特に朝や緊張する場面で悪化する傾向があります。

混合型（IBS-M）

便秘と下痢を交互に繰り返すタイプ。慢性的なお腹の張りや不快感が続きます。

血液・便検査

炎症や感染の有無を確認します。

大腸内視鏡検査

大腸の中を直接観察し、病変がないかくわしく調べます。特に50歳以上で初めて症状が出た方や血便・体重減少がある方には必須の検査です。

過敏性腸症候群（IBS）の診断基準（Rome IV基準）

過敏性腸症候群（IBS）は以下の国際診断基準（Rome IV基準）によって定義されています。
最近3か月の間に、月に4日以上腹痛が繰り返し起こる
そのうち2つ以上が当てはまる

• 排便と症状が関連する（排便で症状が軽くなる など）
• 排便頻度の変化を伴う（便通回数の増減）
• 便の性状の変化を伴う（形や硬さが変わる）

さらに、6か月以上同じような症状が続いていて、直近3か月で上記条件にあてはまることが必要です。
※Rome IV基準とは、国際消化器学会によって定められた診断基準で、2016年に改訂されたものです。

生活・食事の改善

規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動は腸の安定に役立ちます。野菜や豆類などの食物繊維、ヨーグルトなどの発酵食品も有効です。一方でアルコール、カフェイン、香辛料は控えると症状が落ち着きやすくなります。

薬物療法

症状に合わせて、腸の動きを整える薬、乳酸菌製剤、下痢止めや便秘改善薬、さらにストレスが強い方には抗不安薬や抗うつ薬を使用することもあります。漢方薬も体質に応じて選ばれます。

心理療法

ストレスが症状に直結するため、認知行動療法やリラクゼーション、呼吸法なども治療の一部となります。